• Q.「なぜ東ドイツでは銀行強盗が滅多に起きないのか?」
    A.「逃走用の自動車を15年間待たねばならないから」
  • そんなに人通りの多くないところで二台のトラバントが衝突する事故が起きた。
    「死者2名・負傷者54名って、2台の車にそんなに乗っていたのか?」
    「いえ、乗っていたのは死亡した2名で、その後事故車の部品を奪い合いに大勢集まって、その争いで54名が負傷とのことで・・・・・」
  • Q.「トラバントの後部に書かれている『601』[注 26]とは何を意味するのか?」
    A.「600名が注文して、1人だけ手に入れたことを意味する」
  • 中東の大金持ちの首長ライプツィヒ見本市を訪れた際、「注文してから納車までに10年かかる自動車」があると聞いた。果たしてどのような高級車なのかと、この車が欲しくなった彼は早速注文を出した。
    ツヴィッカウトラバント工場はこの栄えある注文に対して、ちょうど完成したばかりの1台を首長の国へ出荷した。
    すると首長から手紙が届いた。「最短の納期で納品していただき感謝します。ちゃんと自走できる実物大見本に満足しています。追って実物の車が納品されるのを楽しみにしています」
  • あるアウトバーンロールスロイスメルセデス・ベンツ、そしてトラバントが走っていた。すると一頭のシカが急に車線へ飛び出してきた。ロールスロイスの運転手が慌てて急ブレーキを踏んだのだが、時遅くシカをはねてしまった。メルセデス・ベンツトラバントの急ブレーキも間に合わず、三台は次々と追突してしまった。
    ロールスロイスの運転手「なんてこった、新しいクルマを買うために、また一日みっちり働かなくては!」
    メルセデス・ベンツの運転手「畜生め、新しいクルマを買うために、俺は一週間も休まず仕事をしないといけないぞ!」
    トラバントの運転手「ああ、このクルマを手に入れるために、十年間も頑張ってきたのに!」
    すると他の二人が彼にこう言った。「君、それは自業自得だよ … 何故そんな高価なクルマを乗り回したりしたんだい?」
  • Q.「トラバントはなぜ『トラビー』と呼ばれるのか? 」
    A.「走るスピードがあまりにも遅いから。もしきちんとスピードを出せるなら『ガロッピー』と呼ばれていた筈」
    トラバントの愛称 Trabi を、乗馬の Trab(トラープ、速歩)と Galopp(ガロップ、馳歩)に掛けている。
  • Q.「ジェット戦闘機とトラバントの違いは何か?」
    A.「ジェット戦闘機は、音が聞こえる前に姿を現す。トラバントでは、姿を現す前に音が聞こえる」
    トラバント2ストローク2気筒エンジンは、甲高い独特の騒音を発していた。
  • Q.「トラバント車内の騒音値は非常に低いそうだが、それはなぜか?」
    A.「運転中、自分の膝で耳をふさげるくらいに車内が狭いから」
  • Q.「東ドイツアダルトショップが、あまり繁盛しないのは何故か?」
    A.「トラバントにまさるバイブレーターなどないからだ」
  • Q.「東ベルリン最高峰の病院シャリテー腎臓結石を衝撃波で破砕する装置を持っていたのだが、運用を取り止めることになった。それはなぜか?」
    A.「トラバントを運転すれば、同じ処置をより安く行えることが分かったから。」
  • Q.「信号が青に変わったのに、トラバントが停まったままだった。それは何故か?」
    A.「そのすぐ後ろにいたメルセデスが、外気取入れファンを回し始めたからだ。」
    「タイヤのうち1本が、道に落ちていたチューインガムを踏んだ」という答えもある。
  • Q.「すべてのトラバントオーナーは、死んだら天国へ上ることが約束されている。それはなぜか?」
    A.「彼らは生前、この世の地獄を味わっているから」
  • Q.「トラバントコンドームの違いは何か?」
    A.「違いは無い。どちらも『通行』を妨げる。」
    ドイツ語の原文で用いられている Verkehr という単語には、「交通」のほか、「性交」という意味もある。
  • 「こんな車(トラバント)に何故みんな乗りたがるんですかね?」
    「君、トラバントマルクス主義の理念を体現しているものなんだよ。『資本論』にもあるだろう─『価値を持たない使用価値が存在する』」
    資本論』第1部第1章第1節の内容を踏まえている。
  • Q.「トラバントの外板が塗装されているのはなぜか?」
    A.「雨に濡れてもふやけないように。」
  • Q.「トラバントを作るために、何人の作業者が必要か?」
    A.「二人だ。一人目が『折り』、二人目が『貼る』。」
    トラバントへの「ボール紙のボディの車」[注 27]という揶揄にもとづいたジョーク。
  • Q.「トラバントは自動車工業の歴史において、まさしく革新的な大発明である。それはなぜか?」
    A.「交通事故が起こった際、歩行者がクルマに反撃できるようになったから」
  • 一台のトラバントが田舎道を走っていて、ある村に差し掛かった。村の入り口は右カーブになっていたのだが、その先の路上に一羽のメンドリがいた。トラバントはそのまま走り続け、まともにメンドリをはねてしまった。ドライバーは急ブレーキをかけて停車すると、横たわったメンドリのところに駆け戻った。すると、メンドリはむっくり起き上がり、ふらつく足で立つとこう言った。
    「ふん、あたしにアタックするオンドリにしては、なかなかの奴だったわねえ」
  • Q.「トラバントの価値を倍増するにはどうしたらよいか?」
    A.「満タンに給油するだけでよい。」
  • Q.「トラバントの加速度を計測するにはどうしたらよいか?」
    A.「カレンダーを使えばよい。」
  • Q.「トラバントが最高速度を出すのはいつか?」
    A.「レッカー移動されるときだ。」
  • Q.「後ろの窓に電熱線を備えているトラバントがあるが、その目的は何か?」
    A.「トラバントが冬に故障した時、後押しする手を温めてやるためだ。」
  • Q.「トラバントには当初、シートベルトが無かったのはなぜか?」
    A.「周りから『あの人はリュックサックを背負っている』と勘違いされないようにだ。」
  • Q.「普通のトラバントと『トラバント・スポーツ』との違いは?」
    A.「ドライバーがスポーツシューズを履いている。」
    「グローブボックスにスポーツシューズが突っ込んである」というバージョンもある。
  • Q.「トラバントの16V仕様とはどのようなものか?」
    A.「それぞれのタイヤに、エアバルブが4つずつ付いている。」
  • Q.「トラバントのマフラーが一本から二本へ増やされることになった。それはなぜか?」
    A.「もしトラバントが故障しても、マフラーに棒を差し込んで、手押し車として使えるように。」
  • Q.「風洞テストで、トラバントが見事二位の成績を収めた。では一位を獲ったのは何だったか?」
    A.「家具工場が作ったウォールユニットだ。」
  • 警察官が一台のトラバントを呼び止めた。
    警察官「君、この車には速度計が付いていないじゃないか。これでは制限速度を守れないぞ」
    運転者「速度計が無くても大丈夫ですよ。時速20キロメートルで走るとフロントガラス、30キロだとシート、50キロならドア、そして80キロで私の歯がガタガタいい始めますから」
  • ある東ドイツ人が西ドイツの自動車修理工場を訪れて、彼のトラバントのエンジン(Motor)をもっと強力なものに交換するよう依頼した。一週間後、再び西側にやって来た東ドイツ人は、エンジンの載せ替え作業が完了した愛車の試し乗りをおこなった。トラバントは素晴らしい加速で跳び出したが、なぜかすぐに止まってしまった。そしてその後もダッシュと停止を繰り返すのだった。
    東ドイツ人「おい、これはどういうことかね?」
    修理工「ちょっとお待ちを … さあ、これでもう大丈夫ですよ」
    東ドイツ人「いったい何が悪さをしていたのかな」
    修理工「エンジンの代わりに、ワイパーのモーター(Wischmotor)を使ったんですよ。ところが、間欠スイッチを切っておくのを忘れていたんです」
    ドイツ語原文ではエンジンとモーターの両方について、原動機全般を意味する Motor(モートア)という名称で呼んでいる。
  • ある東ドイツ人がトラバントを運転して、初めて西ドイツを訪問したのだが、アウトバーンを走っている途中でトラバントが故障してしまった。すると一台のBMWが通り掛かり、運転手が最寄りのガソリンスタンドまで牽引してあげようと親切に申し出てくれた。
    BMWの運転手「もし走行中に何か困ったことが起きたら、ヘッドライトを点滅させて合図してくれ」
    BMWトラバントを引っ張って走り始めてしばらくすると、一台のダイムラーが彼らを追い越して行った。するとBMWの運転手は思わず頭に血が上ってしまい、トラバントのことをすっかり忘れてしまった。
    BMWの運転手「この野郎、生意気な走りをしやがって!」
    BMWダイムラーを抜き返そうと急加速した。トラバントに乗ったままの東ドイツ人はびっくり仰天して、ヘッドライトを点滅させたり、クラクションを鳴らしたりして合図したが、BMWの運転手はそれに気付かず猛スピードで突き進むのだった。
    この光景を目撃したガソリンスタンドの店員は、あわてて次のガソリンスタンドへ電話を掛けた。
    店員「おいフリッツ大変だ、本線上でダイムラーBMWがレースをやっているんだが、そのすぐ後ろでトラバントが二台のことをあおっているんだぜ!」
  • アウトバーン1号線を走っていたあるポルシェが、一台のトラバントに追い越された。驚いたポルシェの運転手はトラバントを抜き返そうと加速したが、かえって引き離されてしまった。
    ポルシェが給油のためにガソリンスタンドへ立ち寄ると、先ほどのトラバントがいたのだが、トラバントの運転手は燃料ではなく、何とバケツの水をボンネットの下へ注ぎ入れていた。次の区間でも、ポルシェがどんなに加速しても、トラバントに追いつくことはできなかった。好奇心を抑えられなくなったポルシェの運転手は、次のガソリンスタンドでまた水を補給しているトラバントの運転手へ声をかけた。
    ポルシェの運転手「俺のポルシェは君のトラバントにどうしても勝てなかったのに、君ときたら、ただの水を注ぎ足しているじゃないか。これは一体どういうことなのか教えてくれないか?」
    トラバントの運転手「ああ、うちのクルマは6ポールの水機関(ein 6-poliger Wassermotor)を積んでいるんだよ 」
    ポルシェの運転手「なんだって… 6ポールって… しかも水機関だって??」
    トラバントの運転手がボンネットを開けると、その中には六人のポーランド人が詰め込まれ、息も絶え絶えであえいでいた。
    ポーランド人「水… 水…」
    人力自動車だったとの落ち。交流電動機の極(ポール)数を意味する Pol と、ポーランド人を意味する Pole をかけている。なおトラバントの燃料タンクはエンジンの上に配置されているため、給油のためにはボンネットを開ける必要がある。
  • ついに、トラバントがエンジン無しで出荷され始めた。
    「エンジンも無いのに走れるの?」
    「我が国では万事下り坂なんだし、一応使い物にはなるだろ」
  • トラバントオーナーのための主の祈り
道路の上なる我がトラビーよ。
願わくは汝のエンジンをあがめさせたまえ。
田舎道においても、アウトバーンにおいても、
加速を来らしめ、スピードを現せたまえ。
我らの日々の混合燃料を、今日も我らに与えたまえ。
ノロノロ運転を犯す者を、我らが許すがごとく、
我らのスピード違反をも許したまえ。
我らを警察の取り締まりに導かず、
赤信号より救い出だしたまえ。
ピストンクランクシャフトと内なるブレーキオイル配管とは、
久遠に汝のものなればなり。
アーメン。
  • Q.「ヴァルトブルク『1.3』モデルの意味は?」
    A.「1台分注文して、3台分支払った」

シュタージ

秘密警察・シュタージは、しばしばアネクドートのネタにされている。

  • シュタージが敬虔なキリスト教徒を尋問した。
    シュタージ職員「君は教会に通っているな?」
    キリスト教徒「ええ」
    シュタージ職員「十字架のキリスト像の足に口づけしたな?」
    キリスト教徒「ええ」
    シュタージ職員「同志ホーネッカーの足にも、同じように口づけできるか?」
    キリスト教徒「もちろん、彼が同じように十字架に架けられたならね」
  • 二本の押しピン(Stecknadel)が、道端で話し合っていた。
    一本目の押しピン「なあ、俺が知っている政治ジョークがあるんだが …」
    二本目の押しピン「しーっ、すぐそばに安全ピンがいるぜ!」
    安全ピン Sicherheitsnadel は国家保安 Staatssicherheit、すなわちシュタージを示唆する。
  • Q.「シュタージの採用試験とは、どのようなものか?」
    A.「3メートル先のガラス窓に向かって跳び、耳でピタッと吸い付ければ合格。」
  • Q.「シュタージ公認のシュナップスとは?」
    A.「メルデ・コルン(Melde-Korn)。」
    メルデ・コルンはコトブスにあった酒造会社(1748年〜1996年)のブランド。このブランド名を、通報する・通知するという意味のドイツ語動詞 melden とかけている。
  • 東ドイツの刑務所で、二人の受刑者がなぜここに来たのかを教え合った。
    一人目「俺は自転車屋なんだが、ホーネッカーにコースターブレーキを勧めたんだ」
    二人目「俺は望遠鏡を使って、ホーネッカーのことを見たんだ」
    一人目「たったそれだけのことで逮捕されるなんてあんまりだ」
    二人目「まあそうなんだが、なにしろ望遠鏡の下に銃がぶら下がっていたのでね」
    自転車のコースターブレーキを意味するドイツ語 Rücktritt (Rücktrittbremse (リュックトリットブレムゼ)の、ブレーキを意味する後半「Bremse」(ブレムゼ)を略した呼称)を直訳すると「後ろに踏み込む」といった表現となるが、文脈によっては「後退する」、「辞職する」という意味もある。
  • 東ドイツのウサギが西側に駆け込んできて、政治的亡命を求めた。理由を聞くと、東ドイツのゾウすべてが迫害されることになったのだという。
    西側の係官「おや、でも君はゾウじゃないよ」
    ウサギ「それは分かってるが、なにしろシュタージの連中にとってはどっちでも同じなんだ」
  • 駆け出しの若いシュタージ職員が、ロイナ市の化学コンビナート「VEBヴァルター・ウルブリヒト」で開かれるメーデー式典において、会場に潜入した西側のスパイを検挙するという任務を与えられた。
    式典のスピーチの真っ最中に、彼は上官へ報告した。「同志中尉、7列の15番席にいるのがスパイです」この男を捕えて調べると、本当に西側のスパイであった。
    なぜスパイを見付けられたのかと尋ねられたシュタージ職員はこう答えた。「政治の授業で『階級の敵は決して眠らない』と教わりました。スピーチの最中に起きていたのは奴だけでした」
  • 小さなフリッツ君が父親に、学校での出来事について話した。
    フリッツ「今日、『社会主義が打ち立てた成果』について書いた作文が戻って来たんだ。僕がクラスのトップだったよ。5段階評価で、上から数えて『4』だったんだ[注 28]
    父親「何だって、そんなひどい評価でトップか。他の生徒はどうだったんだ?」
    フリッツ「さあ、分からないや。だって、みんなシュタージの事情聴取からまだ戻って来ないんだ」
  • 教師「みんな、今日は初めての社会科の授業を行います。早速質問ですが、『共産党宣言』を書いたのは誰でしょうか?
    誰も答える生徒がいなかったので、教師は小さなフリッツ君を指名して、同じ質問をした。
    フリッツ「先生、それは僕じゃありません、本当です!」
    愕然とした教師は、自宅に戻ると、妻にこの話をした。
    教師の妻「私もよく分からないけど、多分その子じゃないわね」
    さらに頭を抱えてしまった教師は、行きつけの居酒屋に行って痛飲した。すると近くの席にいた男が教師の様子を見て、何があったのかを聞いてきた。そこで教師は、今日の出来事をすっかり話した。
    男「先生、心配には及びません。実は私はシュタージに勤めているのですが、そいつを必ず見付け出しますよ」
    二週間後、教師が居酒屋に行くと、シュタージの男が再び現れた。
    男「やあ先生、一件落着です。フリッツ君ではありませんでしたよ…フリッツ君の父親が自分の仕業だと自白しました」
  • ある居酒屋にて。酔っぱらったある男が、居合わせた他の客に話しかけた。
    酔客「ねえ君、俺のビールとホーネッカーとの違いが分かるかい?」
    他の客「さあ、一体なんだろうね」
    酔客「ビールは水分 flüßig (フリュースィヒ)、ホーネッカーは余分 überflüßig (ユーバーフリュースィヒ)なのさ!」
    他の客「それじゃあ、あんたのビールとあんた自身との違いが分かるかな?」
    酔客「俺のビールと俺自身だって?」
    他の客「あんたのビールはここに残り、あんたは私と一緒に来るんだ…」
  • Q.「あらゆる物資が欠乏しているにもかかわらず、シュタージが使っているトイレットペーパーはなぜ二重巻きなのか?」
    A.「どのようなくだらないことでも、モスクワにコピーを提出しなければならないからだ。」
  • 東ドイツにかんするアネクドートをこしらえていた男がシュタージに捕まり、ホーネッカーの前へ引き出された。
    ホーネッカー「君、我が国が今まさに素晴らしい発展を遂げつつあるというのに、なんというアネクドートを広めたのかね!」
    男「あのう、今おっしゃったやつは、私が作ったものではありませんよ?」
  • 路面電車の車内で、ある音楽家楽譜に目を通していた。その様子を見た保安省の密偵は楽譜を秘密文書ではないかと疑い、音楽家をスパイ容疑で逮捕した。
    楽家は、この本はバッハフーガであると弁明した。その翌日、音楽家は取り調べを受けた。
    取調官「おい、何を言い訳しても無駄だ!バッハの奴はすでに罪を認めているんだぞ!」
  • Q.「シュタージがロボトロン製の盗聴機を仕掛けたことを、どうやって見分ければよいか?」
    A.「部屋の中に新しいクローゼット、そして家の前に新しい変圧器小屋が出現したら、そうだ」
  • ある市民の自宅から、電話機が没収されることになった。市民は抗議して、その理由を尋ねた。
    係員「あなたが国家保安省のことを誹謗したためです」
    市民「私が? 一体なんでまた?」
    係員「あなたは電話口で何回も、通話が盗聴されているようだ、としゃべったでしょう」
    本当にシュタージが盗聴していたという落ち。
  • ホーネッカーがパリを公式訪問することになった。初のフランス入りに先立つ現地調査として、彼はヴィリー・シュトフエーリッヒ・ミールケの二人にパリ出張を指示した。二人はお忍びで鉄道移動して、列車はパリ北駅に到着した。すると、プラットホームを行き来するポーターが呼ばわる大声が聞こえてきた。
    ポーター「バガージュ、バガージュ!」
    ミールケ「なんてことだ、俺たちの正体がもうばれたぞ!」
    フランス語の単語「バガージュ」は荷物や行李を意味し、ドイツ語でも外来語として定着している。一方でドイツ語の文脈によっては、「ならず者たち」という別の意味となる場合がある。
  • 入院したホーネッカーが、政府のトップ達を病室に呼び寄せ弱々しい声で尋ねた。「同志ミールケ(国家保安相)と同志ケスラー(国防相)も来ているのかね?」
    一同「はい、全員がここに揃っております」
    これを耳にしてホーネッカーは急に飛び起きて、ブルブル震えながら叫んだ「何っ!二人が担当部署にいないとしたら、その間誰が国民の面倒を見ているんだ!?!?」

人民警察

東ドイツの警察官は、あまり頭がよくないというのがステレオタイプになっていた。

  • Q.「東ドイツの警察官は、なぜいつも三人一組でパトロールするのか?」
    A.「一人目が読み、二人目が書き、三人目が二人のインテリを監視する」
  • Q.「東ドイツの警察官は、なぜいつも警察犬を連れてパトロールするのか?」
    A.「少なくとも、どちらか片方は教育を受けている」
  • 二人の警察官がパトロール中、踏切を通りかかった。
    そのうちの一人が上がったままの腕木を見て言った。「なあ、どのくらいの高さなのかな」
    もう一人の警察官が答えた。「遮断機が下りるまで待っていよう。そしたら寸法を測ってみるから」
    その応答に最初に尋ねた警察官は言った。「いんや、幅じゃなくて高さを知りたいんだ」
  • 街角で二人の警察官が泣いていた。通りかかった市民が事情を聞くと、連れていた警察犬が逃げてしまったのだという。
    通行人は警察官を慰めようとした。「なに大丈夫ですよ、ちゃんと警察署まで戻れるでしょう」
    警察官「うん、犬の方はね」
  • 地方出身の警察官が東ベルリンに配属された。パトロールの際に通りかかったインターショップをのぞいてみると、見たこともないような西側商品がたくさん並んでいる。びっくり仰天した彼は、思わずインターショップに駆け込んだ。
    「私は政治的亡命を求めます!」
  • 二人の人民警察官がパトロールしていた際、一人が相棒に質問した。
    一人目の警察官「なあ、黒というのは色なのかな?」
    二人目の警察官「そうだな、色のひとつだな」
    一人目の警察官「それじゃあ、白も色なのかな?」
    二人目の警察官「うん、同じように色のひとつだな」
    一人目の警察官「そうか… じゃあやっぱり、俺の家にあるのはカラーテレビなんだ!」
  • ラジオ放送の時報
    「これより8時をお知らせします … なお警察官の皆様に申し上げます。8時とは、時計の長い針が真上を指して、短い針がプレッツェルを指す時間のことです」
  • Q.「『POST』の意味は何か?」
    A.「まともな能力を持たない人達(Personen ohne sinnvolle Tätigkeit)の略だ。」
    Q.「では『VP』の意味は何か?」
    A.「POSTがたくさん(viel POST)の略だ。」
    『VP』は実際には、東ドイツ人民警察(Volkspolizei)の略称であった。
  • スクーターを走らせていた男が、人民警察官に呼び止められた。
    警察官「交通検問です。シートベルトを外して車から出てください。」
    スクーターの男「はあ、それなら、窓を開けるだけでもいいんじゃないですか?」
  • 自分の自動車に乗って東ドイツへ来たイギリスの男が、人民警察の検問に止められた。
    警察官「おいパウル、この車のハンドルは間違った側に付いてるぞ。報告書に書いておけ!」
    イギリスの男「What do you want from me?」
    警察官「おいパウル、こいつ訳の分からんことをしゃべるぞ。このことも書くんだ!」
    警察官が自動車の周りを検分すると、車体の後ろにGBという標示が貼られていることに気付いた。
    警察官「おいパウル、みんな取り消すんだ。この人はゲエジさんだったぞ!」
    イギリス Great Britain を示す GB を、ザクセン出身の警察官が(ザクセンなまりで)刑事警察 Griminalbolizei と解釈したという落ち。なお刑事警察を標準ドイツ語で正しくつづると Kriminalpolizei となる。
  • ある五月晴れの日。二人の警察官が公園をパトロールしていると、手足を広げた人物がうつ伏せで池に浮いているのを見つけた。警察官たちは早速その人物を池から引き上げて、人工呼吸と心臓マッサージを試みた。
    すると、遊歩道を通りかかった市民が警察官たちに声をかけた。
    市民「お巡りさん、もう手遅れですよ」
    警察官「同志、そんな離れた場所から見て、この人が手遅れなのかどうかがなぜ分かるのかね?」
    市民「だってその人、ほら、スケート靴を履いていますよ」
  • 警察学校で、10名の生徒が修了テストを受けた。各人は丸、四角、三角の穴が開けられた板を受け取った。テストの内容は、10分間の制限時間内に、断面がそれぞれ丸、四角、三角の棒を正しい穴に通すというものだった。
    テストの結果は、全員合格だった。10名のうち2名が論理的思考によって、そして8名が実力行使によって棒を穴に通したのだった。
  • 人民警察でパーティーが催された際に、警察の将官マルゴット・ホーネッカーをダンスに誘った。
    警察の将官「ところで同志ホーネッカー、いずれは我が人民警察に対する悪質なジョークを禁じねばなりませんな」
    M・ホーネッカー「それには納得できる理由が必要ですわ。だってあなた、私を国歌斉唱でダンスに誘った初めての殿方ですのよ」
  • 医学生たちが試験を受けることになった。その内容は、ガラス容器に入った脳が何の生き物のものかを当てるというものだった。
    一人目の医学生に示されたのはかなり小さな脳だった。
    医学生「あまり渦巻きがないので、ネコの脳でしょう」
    教授「よろしい、正解だ」
    二人目に示されたのはさらに小さな脳だった。
    医学生「構造が単純なので、ネズミの脳でしょう」
    教授「よろしい、正解だ」
    三人目に示されたのはさらにちっぽけな脳だった。
    医学生「渦巻きがふたつしかありません。これは警察官の脳でしょう」
    教授「答えは正解なのだが、よく見給え、君が二つ目の渦巻きだと思ったのは、実は制帽をかぶって付いた跡だよ」
  • ある病院で一人の赤ちゃんが生まれた。この赤ちゃんは目を開くと、すぐにこうしゃべり始めた。
    赤ちゃん「角度aと角度bを合計すると、角度cになります。」
    医師は言葉を失ってしまった。
    「この子はちょっと賢すぎる。手術を行って、脳みそを半分摘出してしまおう。」
    手術が無事に終わり、麻酔から目覚めた赤ちゃんは早速しゃべり始めた。
    赤ちゃん「一足す一は、二です。」
    医師はまた衝撃を受け、赤ちゃんの脳みそをすべて取り去ることにした。手術が無事に終わり、麻酔から目覚めた赤ちゃんは早速しゃべり始めた。
    赤ちゃん「皆様に申しあげます、こちらは人民警察です!」
  • パトカーが故障して止まっているところに、一台のトラバントが通りかかった。警察官たちはトラバントを運転していたシュミット氏に、パトカーを牽引するように頼んだ。シュミット氏はこの願いを聞き入れ、交通ルールを完璧に守る運転でパトカーを牽引してやった。
    警察官たちは感銘を受けて、シュミット氏にこう言った。「まさに模範的な運転でした! 賞金として20マルクを進呈します。あなたは賞金を何に使いますか?」
    シュミット氏「私はこれまで、運転免許証の順番待ちリストに乗ることもできませんでした。賞金を早速、免許証取得に使いますよ
    助手席に座っていたシュミット夫人は、夫の発言を聞いて真っ青になってしまった。「どうか信じないでくださいね! うちの人は、お酒を飲むといつもとんでもないデタラメをしゃべるんですよ」
    すると、後部座席に座っていた娘がこう言った。「まったく、盗んだクルマじゃ長続きしないって思っていたのよ」
    今度はトランクルームの扉が開いて、お祖父さんが顔をのぞかせた。「もう西側に着いたのかい?」

フルーツ

戦前と同じく、輸入フルーツのバナナやオレンジは東ドイツではぜいたく品であり、これもネタとされた。

  • 道の向こうからバナナが息を切らして走って来て、キウイフルーツに出くわした。
    キウイフルーツ「君、一体どうしたんだい」
    バナナ「僕のことを捕まえようと、大勢の人間が追いかけて来るんだ。君も早く逃げないと食われてしまうぞ」
    キウイフルーツ「それなら大丈夫、どうせ僕のことを知っている人は誰もいないよ」
  • Q.「東ドイツ人がサルから進化したのではないという証拠は?」
    A.「バナナも無しに、サルを40年間もつなぎとめておくことはできない」
  • Q.「バナナでコンパスを作るにはどうすればよいか?」
    A.「ベルリンの壁の上にバナナを一本置き、翌朝、バナナが食いちぎられていた方が東[注 29]
  • Q.「バナナはなぜ曲がった形をしているのか?」
    A.「東ドイツを避けるためにカーブしている。」
  • ガラスの棺で眠る白雪姫を、誰も目覚めさせることができなかった。小人たちにも、またさえずる小鳥たちにも無理だった。
    ところが王子様が白雪姫の耳に魔法の言葉をささやくと、彼女はいっぺんに飛び起きた。その言葉とは…
    王子様「コンズームでオレンジを売っているよ」
  • ある男が仕事を早引けして帰宅すると、彼の妻がベッドで他の男と寝ているところを発見した。夫は憤激のあまり怒鳴った。「おい、お前たち、こんなところで一体何をしているんだ! …HOにバナナが入荷しているというこの時に!」
    コンズーム(Konsum)は消費組合(生協)、HO(Handelsorganisation)は国営小売店で、上述のインターショップやデリカートに対して一般の食料品や日用品を扱っていた。なおコンズームは19世紀にドイツ各地で設立された消費組合を起源とし、東ドイツ崩壊後も一部が小売業者として存続している。
  • あるHOにバナナが入荷したとのうわさが流れた。すでに朝の8時には、その店の前に長蛇の列ができていた。
    昼の12時になると、店の責任者が姿を現した。
    責任者「皆さん、バナナの量がとても足らないのです。社会主義においては、ユダヤ人の方々をどうこうすることはないのですが、まあ、そのう…」
    ユダヤ人たちは責任者の様子を察すると、行列から離れて帰っていった。
    残った人々が午後4時まで待つと、また責任者がやって来た。
    責任者「皆さん、実際のところ、バナナの量は本当に足らないのです。党員の方々だけに行きわたる程度です」
    党員ではない人たちはぶつぶつ文句を言いながら、行列から離れて帰っていった。
    残った人々が夜の8時まで待つと、また責任者がやって来た。
    責任者「バナナはごくわずかなのです。信頼のおける忠実な党員の方々だけが手に入れられます」
    これを聞いて、多くの人たちが怒りを露わにしながら帰っていった。
    責任者「残った一握りの皆さん、あなた方は実に立派な共産主義者です! ところが残念ながら、バナナはありません。最初から無く、今後も無いのです」
    これを聞いて、残った人々の中の一人が思わず漏らした。
    男「あのユダヤ人どもめ、いつもうまく立ち回りやがって!」
    バナナではなく、「バターが入荷したとのうわさ」から始まるバリエーションもある。
  • Q.「トラバントの価値を倍増するにはどうしたらよいか?」
    A.「車内にバナナを一本置けばよい」
    上述のトラバントにまつわるジョークのバリエーション。
  • SEDの第二十回党大会を期に、バナナ不足を解決するための新型自動販売機が導入されることになった。すなわち、バナナを四本投入すると、4マルクが出てくるというのだ。

ベルリンの壁崩壊とその後の政治体制の変化

東ドイツ末期には、ベルリンの壁崩壊やその後の急激な政治体制の変化を皮肉ったのが多くある。

  • ある東ドイツ市民が、西ドイツ市民に向かって言った。
    東ドイツ市民「我々は一つの国民だ!」
    西ドイツ市民「そうかい、うちもだよ!」
    wir sind ein volk! 「我々は一つの国民だ!」は東ドイツ末期の民主化デモで用いられたスローガン。月曜デモでは wir sind das Volk! 「我々こそ国民だ!」とも叫ばれた。
  • 「ホーネッカーが、西側への逃亡中に射殺されたそうだよ」
    「それも、背後じゃなくて前から撃たれたんだってね」
  • Q.「ホーネッカーとセナの違いは何か?」
    A.「セナは壁に激突して死に、ホーネッカーは“壁”を生き延びた」
    セナの代わりにダイアナ元妃を引き合いに出すバージョンもある。
  • Q.「なぜ中国人たちは、いつもニヤニヤ笑っているのか?」
    A.「中国には、まだ『』があるからだ」
  • Q.「なぜ壁は崩壊したのか?」
    A.「建材不足を解消する目的で、オッシーたちが再利用するためだ。」
  • Q.「壁が崩壊した後、東ドイツの理髪店で顔剃り料金が値上がりしたのはなぜか?」
    A.「ひとびとの顔が緩んで伸びてしまったから」
  • Q.「なぜ西ドイツ人は東ドイツ人のことを『オッシー』と呼ぶのか?」
    A,「西ドイツ人は『スペシャリスト』と発音できないからだ」
  • Q.「『フォード』のアルファベット四文字は、何の頭文字か?」
    A.「『オッシーにはこれで充分(für Ossis reicht das)』」
  • Q.「『バカなオッシー』と言わないのはなぜか?」
    A.「『黒いニグロ』とは言わないのと同じ」
  • Q.「オッシーと卵の違いは?」
    A.「卵は一回しか、かち割ることができない」
  • Q.「オッシーは何から生み出されたか?」
    A,「土と水、そしてウンコが少々だ。ただし、ウンコの分量にはご注意を。もし多過ぎると、ヴェッシーが生み出されてしまう」
  • Q.「オッシーとヴェッシーを掛け合わせたら、何が生まれるか?」
    A.「高慢ちきな失業者。」
  • Q.「オッシーとポーランド人を掛け合わせたら、何が生まれるか?」
    A.「盗みをはたらくこともできない程の怠け者。」
  • Q.「あるオッシーが海岸を散歩していると、二人の人がおぼれているのを見つけた。オッシーは、有色人種と白色人種のどちらを助けるのか?」
    A.「それは有色人種の方だ。白人は、もしかしたらヴェッシーかも知れないから」
  • 西ドイツ人と東ドイツ人、そして黒人の三人が、産科の待合室で子供の誕生を待っていた。ついに看護士がやってきて、彼らにこう告げた。
    看護士「みなさん、おめでとうございます!それぞれ元気な男の子が生まれましたよ。ところが当方の手違いで、どの赤ちゃんがどなたのお子さんか分からなくなってしまいました。そこで、皆さんに自分のお子さんを選び出していただけませんか?」
    これを聞いた東ドイツ人は、真っ先に赤ちゃんたちの所に駆け付けると、一番肌の色が濃い赤ちゃんを選んで、そのまま連れ帰ろうとした。
    看護士「あのう、その子はどう見ても黒人のお父さんの子ですよ!?」
    東ドイツ人「ヴェッシーじゃなければ、誰でも構わないのさ!」
  • Q.「なぜオッシーたちは、ユーロの導入を喜んでいるのか?」
    A. 「歓迎金をまたもらえると思っているから。」
    歓迎金 Begrüßungsgeld とは、入国する東ドイツ市民とドイツ系ポーランド市民に対して、西ドイツ政府が支払っていた援助金。一回当たりの支給金額は、1970年の導入当初以降は30西ドイツマルク(年二回まで)、1988年から1989年廃止までの期間では100西ドイツマルク(年一回)であった。
  • Q.「オッシーの顔をぶん殴ることを、何と言うか?」
    A.「連帯税。」
    連帯税(Solidaritätszuschlag ゾリダリテーツ・ツーシュラーク)とは直訳すると連帯割増金を意味し、東西ドイツ統一にかかわる費用に充てるため1991年に導入された、連邦政府に納入する直接税である。2018年時点での税率は、所得税の5.5パーセント。Zuschlag ツーシュラーク という語句は割増分・加算分のことだが、文脈によっては「殴り(schlagen) 付ける(zu)」という解釈も可能。
  • Q.「オッシーを塩酸で満たされたドラム缶の中に浸けたらどうなるか?」
    A.「問題が『溶ける』(ein gelöstes Problem)。」
    原文のドイツ語動詞 lösen は、「(物質を)溶かす」と「(問題を)解く」の両方の意味を持つ。
  • ポーランド人とオッシー、そしてヴェッシーが一緒に酒を飲んでいた。そこに妖精が現れて、それぞれ一つづつの願いをかなえようと告げた。
    ポーランド人「俺は国内に自前の自動車工場を欲しい。そうすれば、もうドイツでクルマを盗まなくてもよくなるから」
    オッシー「俺はまた「壁」を建てて欲しい。今度は高さが10メートル増しで、もっと強力な障害を備えたやつをね」
    ヴェッシー「俺はアスバッハ・ブランデーを一杯欲しい」
    妖精「君はその程度の願いでいいのかい?」
    ヴェッシー「もし二人の願い事がかなったら、俺は祝杯を挙げるだけで満足だよ」
  • 2012年のこと。車椅子に乗った身体障害者、ゲイ、オッシー、そしてベトナム人が一緒に居酒屋を訪れた。
    店主「おやおや、にぎやかな取り合わせですね、一体、何のグループなんですか?」
    一同「俺たちは連邦政府だよ!」
  • トルコ人とオッシー、そしてヴェッシーが死んであの世へ行き、神様の裁きを受けた。
    神「トルコ人よ、お前は生涯に100回の嘘をついた。そこでむち打ち100回の罰を与えるが、何か願いがあれば一つ聞いてやろう。」
    トルコ人「それでは、叩かれる背中にクッションをくくり付けてください。」
    オッシーもトルコ人と同じ罰を受けることになり、やはりクッションを所望した。
    神「さてヴェッシーよ、お前は生涯に200回もの嘘をついた。むち打ちは200回となるが、願いも二つまで聞いてやろう。」
    ヴェッシー「それではまず、むち打ちを300回に増やしてください。それから私の背中に、このオッシーをくくり付けてください…」
  • ケムニッツ出身の若者がドイツ連邦軍に入隊し、NATO平和維持部隊の一員としてボスニア紛争へ派遣された。郷里の母親に宛てて、彼は手紙を書いた。
    「食事はいいものが出ています。こちらの営舎では6人のオッシーと4人のヴェッシーが一緒に暮らしていて、とても仲良くやっています」
    しばらくして、母親からの返事が届いた。
    「ちゃんと食事を摂っているようで安心しました。もう4人も捕虜を取ったなんて、素晴らしいわね…」
  • Q.「ドイツ再統一が完成するのはいつか?」
    A.「全国の登記簿から、オッシーの名前が消え去った時だ。」

その他の社会主義国に関するもの

  • 我がポーランドは世界で一番広い国である。領土はヨーロッパに、首都はモスクワに、国民はシベリアにいる。
    ポーランドではなくウクライナとなっているバージョンもある。またキューバを指して「領土と国民はカリブ海の沖合に、首都はモスクワに、知識層はフロリダにいて、兵士はアンゴラで死んでいる」というのもある。
  • 人参朝鮮人参が違うように、民主主義朝鮮民主主義も違う。
  • ワルシャワに住むある男が、仕事からの帰り道にかならず文化科学宮殿の塔の上によじ登り、10分間をそこで過ごし、それから降りて来て帰宅するのだった。その理由を尋ねられた男はこう答えた。
    「だってあそこはワルシャワの中で、文化科学宮殿を見なくて済む唯一の場所なんだ。」
    パリエッフェル塔の建造に反対した文学者ギ・ド・モーパッサンがこのようなジョークを発していた。
  • Q.「スロバキア人にとって、共産主義のいいところは何か?」
    A.「チェコ人もまた、共産主義をやっている点だ。」
  • プラハヴァーツラフ広場で、ある男が尿意に耐えられなくなり、立小便をした。通りかかった警察官がこれを見とがめ、彼を連行しようとしたが、まずズボンの前を閉じるように促した。
    男「お巡りさん、このままにしておきましょうよ。そうすれば、俺が政治犯で捕まったんじゃないってことが、周りの人にも分かるでしょう?」
  • ブダペストで開かれた党の会議で、カーダールが「批判と自己批判」というテーマの演説を行った。
    「6か月前、私等の同胞であったモイシェがイスラエルに亡命しました。彼は一族郎党を引き連れ、家財をみんな持って行きました。彼は祖国ハンガリー社会主義勢力とを裏切ったのであります!我々は皆、彼のことを呪うべきです。彼はもはや、我々の一員ではありません。
    … 以上が批判です。さて次に自己批判ですが … 彼と一緒に行かなかったなんて、私はなんてバカなのでしょうか!」
  • 冬のブカレストを歩いていた男が、ある住居の窓が開けっ放しなのを見付けた。
    男「もしもし、窓が開いたままですよ。外まで冷たくなってしまったじゃないですか!」
  • Q.「ルーマニアの生活水準が、この春から100パーセント上昇した。それはなぜか?」
    A.「人々は以前、寒さに震えて腹ペコだった。それが今では、腹ペコなだけだ。」
  • Q.「世界でもっとも薄い書物とは何か?」
    A.「三種類ある。ポーランドの料理書、ルーマニア法令集、そして東ドイツの観光案内書だ。」
  • 重病に罹ったポル・ポトが、死の危険を感じ側近に医者を呼ぶように言った。
    側近「国内の医者は、貴方の命令により、ひとり残らず粛清致しました。」
    ポル・ポト「とにかく、医者を呼べ。お前も粛清されたいのか?」
    側近は必死で国中を駆け回り、やっとの事で医者をみつけてきたが呪術医[注 30]だった。
    ポル・ポトが原始共産主義を唱えて知識階級を弾圧・粛清した事[注 30]を皮肉った話。

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ 例えば、6世紀東ローマ帝国ユスティニアヌス1世時代にプロコピオスが書いた秘密ノート『秘史』(ἈνέκδοταAnekdota)。
  2. ^ アネクドートの厳しい取り締まり自体もアネクドートの題材にされた。例えば次のようなものがある:ソ連で秘密裏に最高のジョークを決めるコンテストが催された。1等賞は監獄で25年、2等賞は20年、3等賞は15年。レーニンについてのジョークを語れば、最優等賞として処刑される[2]
  3. ^ インタビューによれば、ゴルバチョフが特に気に入っていたのは次のようなアネクドートであった: ウォッカを買おうと行列に並ぶ2人の男があった。1時間、2時間と過ぎるも、行列はほとんど動かない。皆がすっかり暗い気分になってくる。ついに片方の男が耐えきれなくなり、「もう十分だ!こんな暮らしはうんざりだ。どこへ行っても行列だらけ。何も買えやしない。商品棚は空っぽだ。全部ゴルバチョフとくそったれのペレストロイカのせいだ。うんざりだ。今からクレムリンに行ってあの野郎をぶっ殺してやる」と叫んだ。男は2時間後に戻ってきたが、まだ怒りは収まらない様子だ。曰く、「なんてこった!ゴルバチョフをぶち殺すためにクレムリンに出来た行列はここよりずっと長いぞ」[2]
  4. ^ ボルシャコフの書き込んだアネクドートは以下のようなものであった:
    「セルゲイ、なぜヘルソンから撤退するんだ?」
    — Сергей, а почему мы отступаем от Херсона?
    「ヴォロージャ、君が命じたんじゃないか。ファシストナチスからウクライナを解放せよと……」
    — Володя, так ты же сам приказал освободить Украину от фашистов и нацистов…

解説

  1. ^ ロシア革命後、富農と認定された農民からは通常の倍の徴税を「自主的」に行わせる「自己徴税」の制度があり、それを皮肉ったもの。
  2. ^ ちなみにこのアネクドートは当のガガーリン自身が好んで、よく語っていたと言われる。
  3. ^ ソ連共産党中央委員会のメンバーはほとんど歯が残っていないような年寄りばかりしかいない、と言う意味。
  4. ^ a b 単にイリイチだけの場合、普通はブレジネフではなくレーニンを指す。
  5. ^ a b победа”(pobeda)=「勝利」は頭の“по”(po)を取ると“беда”(beda)=「災難」になる。
  6. ^ 正確には、父は弁護士で(両親とも)家業はユダヤ教ラビだった。
  7. ^ マルクス自身、妻が貴族の出であることを自慢してはいたものの、妻の実家は地方の小役人で称号だけが貴族というのが実情だった。当該項目の説明も参照のこと。
  8. ^ スモーリヌイ修道院Смольный монастырь・Smolnyi monastyr、Smolny convent)の近隣に建てられた女子教育施設としてエカチェリーナ2世の時代に設置されたが、ロシア革命期に革命政府となったことをはじめとしてソ連解体まで共産党政権の占有下におかれ、解体後もサンクトペテルブルクの市長官邸等が所在する。教育機関としてのスモーリヌイ学院(en)は1917年にノヴォチェルカッスク、1919年にセルビアに移転するも1932年に閉鎖された。
  9. ^ ロシア語の原文では「カリブ危機」の意。
  10. ^ クージカとは人名クジマーの愛称であるとともに、コガネムシ科昆虫糞虫)である Anisoplia austriaca の名前でもあり、冬季は深い穴を掘らないとこの虫を見つけ出すことができない。
  11. ^ a b c ロシアでは名前と父称で呼ぶのは丁寧な呼びかけにあたる。ブレジネフ時代には「親愛なるレオニード・イリイチ!」が演説などでの枕詞として頻繁に使われていた。
  12. ^ 罪すべき行為が“「スターリンの馬鹿野郎!」と叫んだ”になっている場合もある。なお、1989年中国共産党総書記趙紫陽が解任された理由の一つは、訪中したゴルバチョフ書記長に「最終決定権は鄧小平にある」と明かしたためとされる。
  13. ^ 実際にはその直前に保守派によるクーデターが起き、実施されなかった。
  14. ^ ザジェールジヴァチ (задерживать・zaderzhivat') には拘束するという意味もある。
  15. ^ なお、実際のハンガリーにはドナウ川で活動する「海軍」が存在する
  16. ^ モンゴル人民共和国(現在のモンゴル国)が北はソ連、南は中国という社会主義の2大国に完全に囲まれている。
  17. ^ 二人とも古代朝に対して反乱を起こした農民軍の指導者。
  18. ^ 08/15には「特別じゃないもの」「凡庸なもの」という隠喩も含まれている。当該項目を参照。
  19. ^ リュマニテはフランス共産党系の新聞。
  20. ^ a b c 東ドイツの全人口を形容する人数として1700万人という数字が使われているが、これはベルリンの壁が建設された1961年当時の東ドイツの人口。現実には1972年に1700万人を割り込み、統一直前には1600万人を割り込むまで落ち込んでいた。
  21. ^ a b ウルブリヒトはザクセン出身であったことからその方言が風刺の的とされ、その風采からヤギひげと渾名されていた(当該項目を参照)。またヤギをひき殺したジョークには、ブタをひき殺して運転手が「ブタが死んでしまった、と話しただけ〜」というバージョンもある。
  22. ^ 地雷がなくなったので、誰も見ていなければ簡単に西側へ行けるから。
  23. ^ もし壁が崩れたら、大勢の東ベルリン市民が西側へ殺到するという落ち。
  24. ^ a b ノイエス・ドイチュラント紙は東西ドイツ統一後も、左派系の日刊新聞として発行を続けている。
  25. ^ つまり最高指導者の訃報記事。
  26. ^ 実際にはモデルナンバーを示す番号。
  27. ^ 実際の車体は綿の繊維を使った繊維強化プラスチック(FRP)で出来ていたが、1980年代半ば以降は製造コスト低減を図って紙パルプをプラスチックに混ぜ込んでいた。該当項目も参照。
  28. ^ ドイツでは日本と異なり、数字が若いほど良い成績であることを表す。
  29. ^ 但し、実際のベルリンの壁西ベルリンを囲む形で作られていたので、壁より西・北・南側にも「東ドイツ」は存在していた。
  30. ^ a b ポル・ポト政権下の民主カンボジアでは、革命以前に医師だったものは粛清の対象とされ、代わりに民間療法や代替療法を用いた療術師が医師の代わりとなった。彼らの中にはあまり教育を受けず文字も読めないのも多く、15歳以下の子どもが療術師を務めることも珍しくなかった[8]

出典

  1. ^ a b c d e 今田 2001.
  2. ^ a b c d e Zlobin 1996.
  3. ^ На жителя Рязанской области завели уголовное дело о «дискредитации» армии из-за анекдота про отступление из Херсона”. Meduza. 2023年5月1日閲覧。
  4. ^ 塚崎 2008.
  5. ^ 伸井太一『ニセドイツ〈1〉 ≒東ドイツ製工業品』社会評論社、2009年 P51-52
  6. ^ 仲井斌『もうひとつのドイツ』朝日新聞社、1983年 P103
  7. ^ 伸井斌『もうひとつのドイツ』(1983年 朝日新聞社)P100-101
  8. ^ 山田寛『ポル・ポト〈革命〉史』 pp.146-147

参考文献

同書の底本は同名の単行本(ISBN 4309200648、1983年8月出版)。
なお同書では、人名において、日本におけるカタカナ表記と異なる例がしばしばみられるため、注意が必要である。例えば、ウルブリヒトはドイツ語の発音の慣例(複合語中における構成部末尾のbをp音で発音する)に即して「ウルリヒト」と表記し、フルツェワは同じく(外来語におけるvはv音で発音する)、「フルツェヴァ」としている。

外部リンク