メモもつれ

言語の限界による断絶、あるいはその本質的孤独

家でお茶を淹れていた時代の職人が死に絶える前に急須を買え

急須でお茶、淹れていますか?ペットボトルのお茶でいいやと考えている方も多いと思いますが、それなりの茶葉を温度を管理して淹れた時の味はやはり急須が一番です。

うまく淹れられれば液体の果実肉としか言えない謎の旨味汁を体験することができますよ!

急須の選び方

急須というのはふたの気密がしっかりしており、ブンブン振って最後の一滴まで絞り出せるもののことを言います。

万古焼常滑焼以外の自称急須はふたのすり合わせをやらないのでどれだけ高級でも急須ではなく茶こし付きポットです。

実用品としての急須の話なので骨董に片足突っ込んでるやつとか中国茶器とか紫泥の話はしません。

 

急須のグレード

急須は価格でグレードがざっくりと分かれています。住んでいる県の県庁所在地にある一番古い茶舗に突撃すればだいたい分かるので、ここではざっくりとした雰囲気を示す。在庫が古すぎて値段が昭和価格だったりすることもザラなので自分の目でたしかみてみろ!グレードごとに棚が別れていて一目瞭然なので掘り出し物とかは無いです。

0~2500円

茶こし付きポット。カゴ型の取り外せる網(かご網)を搭載しているものは茶葉が開く空間が取れないのでゴミです。

2000円~4000円

蓋の気密が全然できていない急須もどきがほとんど。弁柄で着色した下品なテカリとべたつき感のある朱泥急須がわさわさある。ごくごく偶に気密が出来ている個体もある。見つけたら大事にしよう。

3500円~8000円

ボリュームゾーン。だいたいの個体は気密がしっかりしており、急須として機能する。作者もはっきりしていて、買うと製陶歴の書かれた紙が付いてくる。このグレードの蓋をカチャカチャしていい感じのやつを探すことをお勧めする。これ以上金を出しても急須の性能が上がったりはしません。

それ以上

デザインを凝りまくっていたり実験的な作品だったり彫刻がされていたり……

応援したい窯元とかなら買っても良いかも。普段使いにはどうだろう?

 

急須の網

急須の網には大きく二つ、本体と一体化したセラミック製と網を取り付けた金属製に分けられます。

セラミック製

穴の大きさで分類される。形状で格の上下は無いが、穴が大きいものは味がよいと言われている。これは小さい茶葉がどれくらい通過するかの問題なので好みで選ぼう。

穴が大きいものは茶葉の小さい深蒸し茶が茶こしを素通りするので淹れられない。何個も急須を買うつもりが無いならば”セラメッシュ”と呼ばれている目の細かいものがお勧め。このセラメッシュは茶こし部分の面積が広ければ広いほど目詰まりしにくいので偉いが、丁寧に淹れる場合はそもそも茶こしに茶葉がべっとりとくっつく淹れ方は良くないとされているのでそこまでこだわらなくてもよい。

金属製

面積が大きいものが偉い。急須業界はクソバカなので同じ形状の網に好き放題に名前が付けられているので注意。無限に実用新案を出すのをやめろ!事実上二択で残りはほぼ下位互換なので完全に無視でいいです。

・帯板、帯板網などと呼ばれている形状 急須の内側全周に円筒状に板網が張られている

・ブランコ、回転急須、新回転急須などと呼ばれている形状 急須の注ぎ口側から底面全面を覆うように網が張られており茶葉の水か切れるようになっているもの。

入手は帯網型が楽で、これはどこに行っても買えると思います。ブランコ型は運よく在庫を引き当てるか、群馬県前橋市に新回転急須という名前で骨董品枠の急須以外すべての急須をショップオリジナルでブランコ型にしている狂った茶舗があるのでそこに凸するのがいいと思います。割引の効くオンラインショップもありますが、店頭だと同じ急須をいくつか店の奥から出してきてくれて個体差を吟味しながら買えます。このためだけに群馬に行く価値があります。狂っている……

網の面積と空間はある程度バーターの関係にあるため面積を重視するのはかご網の産廃扱いと矛盾するとお思いの方もいらっしゃると思いますが、実用上は十分な空間が取れているので問題ありません。

急須の形状

縦長だと高温でサッと淹れるのに向いており、平べったいと低温でじっくり淹れるのに向いています。平ぺったいと茶葉が広がりやすいので、低温で浅蒸しを飲みたい人は平らなやつがおすすめ。ほうじ茶をメインに飲む人、紅茶も飲みたい人は縦長がいいかもしれません。

持ち手が上を向いているものは和室で畳の上で茶を淹れることを前提にした形状で、横を向いているものは卓上で茶を淹れることを前提にした形状です。好きな方を選ぼう!

フタをはめるところの本体側のフチが立ち上がっているものは気密に自信が無いことが多く、ここは平らなほうがいいです。

薄さは薄ければ薄い方がいいです。軽いし。薄い急須は高い技量と胎(土のことです)の品質を反映しており、作りが悪いことはまず無いです。特に蓋と蓋を受ける部分が薄いものを見つけたら絶対に確保してください。

急須の気密の見方

まず蓋のつまみを持って上下左右にカチャカチャやり、動いたら失格。

次に90度回して繰り返す。動いたら失格。

最後に蓋の空気穴と注ぎ口の穴を指でふさぎ、蓋を取るときに抵抗感があるかどうか確かめる。蓋を開け閉めするときに”カポ……”という独特の音がするかどうか確かめます。

このテストを通過すれば気密はOKですが、市内全部回っても全然見つからないとかザラなのでほどほどに。多少なら表面張力でカバーできます。

結局何買えばいいの?

6000~8000円の 自分の好みのデザインで セラメッシュか帯網の 蓋と本体の間の段差が無く 蓋がガタつかないもの

 

茶の味は茶葉が9割です 

急須代は茶葉と浄水器に回して底の深い茶こしを湯呑にセットして茶を淹れなさい

私は最高の急須を見つけましたが親戚に蹴り割られ、それ以降幻影を追いかけ続けています。死ね!